その匂い、めくりめくる感触が好き。

本が好きです。読書が好きです。紙の匂い、ページをめくる感触...読む行為自体が大好きです...

三部けい 『 僕だけがいない街 』

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マンガ大賞2015 第4位

マンガをあまり読まないから小説を読む時よりも身構えてしまって、しかも(だから? )時間がかかるのだ。
余程のことでない限りはマンガは手にしない、成人してから以降は。
だいぶ前になるが「王様のブランチ」で「 マンガ大賞2015 」の話題が取り上げられていた、確か1位から5位までの作品が紹介されていたのだ。


ちなみに結果は

1位 「かくかくしかじか」/ 東村アキコ
2位 「子供はわかってあげない」/ 田島列島
3位 「聲の形」/ 大今良時
4位 「僕だけがいない街」/ 三部けい
5位 「BLUE GIANT」/ 石塚真一


ブランチではさらっとあらすじを紹介していたのだが、どの作品よりも「 これはっ! 」と一瞬で惹かれたのが『 僕だけがいない街 』だ。
主人公 悟の小学校時代に起きた連続誘拐殺人と同級生の死。そして主人公が今現在生きる世界で突然起きた信じられない悲劇。
それらすべてが繋がっていると悟った主人公は、彼特有の「 再上映(リバイバル)」と呼ばれるタイムスリップ能力を使って彼の小学校時代の1988年2月に戻って殺害された同級生を救い、今の人生を変えるべく必死に動き始める。

 

さまざまな要素がちりばめられた作品

リバイバルを使って子供時代に戻った主人公、姿形は子供でも中身が28歳の大人というのがコナンくんっぽい。過去にタイムスリップして、友達を助けようと右往左往するというストーリーは『 バタフライ・エフェクト 』を彷彿とさせる。

本来なら1988年に殺されている同級生の女の子と悟、小学生同士のかわいらしい恋人が手を取り合い悲しい現実に立ち向かおうとする姿が健気でTBSのドラマ『 白夜行 』の第一話を思い起こさせたりもする。
伏線があちこちに張り巡らされ、登場する誰もが犯人だと思えてしまう。
兎にも角にも、傑作に巡り会ってしまった思いだ。
そして、否が応でも自分の内面に向き合わされ悟りを引き出すような哲学的なセリフがちりばめられているあたりは大昔に読んだ『 エースをねらえ 』という少女コミック(本作は決して少女コミックではないのだが...)のにおいも漂う。


いっきに5巻を読み切り、続きが待ち遠しくて気が狂わんばかりなのだ。
再び過ぎた時間のある地点に戻りやり直す事ができたら...
人の人生は無数の選択肢が張り巡らされ、ひとつひとつ選び取り行動することの連続だ。
僕だけがいない街 』を読みながら『 ミスター・ノーバディ( 2009 )』という映画の切ない世界観が蘇ってきたりもするのだ。

 

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ちなみにもうすぐ6巻が発売になる、いてもたってもいられない ... 2015年7月4日発売です。

 

注) 私の別ブログの記事を加筆修正したものです。

 

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