その匂い、めくりめくる感触が好き。

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『 モーターサイクル・ダイアリーズ 』 - チェ・ゲバラがやんちゃしてた頃

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過去にブクログにアップしていた記事です。

 

チェ・ゲバラが、23歳の青年だった頃…
一緒に旅したアルベルト・グラナードに“フーセル”とか“ペラオ”などのニックネームで呼ばれていた時期だ。
旅は1952年1月に出発、同年7月まで続く7ヶ月間、距離にして12,000キロ以上もの旅だ。
途中タイトルになっているバイクは過酷な重労働(?)や針金での修繕の末その役目を終える事となる。
寧ろエルネスト(ゲバラ)の方は好都合だったようでアルゼンチン人の気質も手伝って旅先で様々な人と出会い助けてもらい、またその土地の実情をつぶさに知る事となる。彼自身も元々人と触れ合うことが好きだったようだ。
時にはアルベルトと小芝居をして旅先の人にごちそうになったり、付き合っていた彼女と別れてセンチメンタルになって詩を読んでみたり。
旅の開放感、楽しさ、若い時期特有の快活な無鉄砲さが読者を惹き付ける。
「あのゲバラが...」と意外な驚きとともに観点や考え方、文章による表現力はやはり凡人ではないことも思い知らされた。
特にチュキカマタに入ってからは労働者階級者たちの死と隣り合わせの過酷な生活を思い知らされ、ペルー、マチュピチュでの文明に感嘆しながらもそこに暮らす人々の非人道扱いや隷属的な暮らしぶりに衝撃を受けたようだ。
ゲバラは、アルベルトが企てたこの旅に行かずに医学の勉強だけして普通の生活をしていることもできたし、旅を終えた後に医学の勉強に戻り全ての試験に合格して医師の資格も取得しているのだから医師として普通に暮らす選択もできたはずだ。
この旅が彼の人生を大きく左右したと同時に革命家チェの出発点だったのではないかとも思う。
革命家は政治家とは全く違うものである。キューバ革命バティスタ政権終焉に追いつめた偉業を成し遂げても彼はそこには停まってはいなかった。
カストロが用意してくれた総裁などの椅子に安泰に居座り続けることを拒んで新たにコンゴ、そしてボリビアへと旅立つ。
この旅の15年後にあのような形で人生の幕を閉じるとは想像だにしなかっただろう。
ゲバラにとって旅が人生そのものだったのだと感じた。
素晴らしい旅日記なのだが、忌憚なく言わせてもらうと翻訳がイマイチだった。
これが唯一の残念な部分で、ここをクリアすれば間違いなく星が5つになっただろう。

最後に...
アルゼンチン人にとってのマテ茶はあれほど凄いのかとかなり驚きました。
しょっちゅうマテを飲んでるし、バイクでの旅なのにマテ茶を煎れる用のやかんなども持参しているのだ。

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チェ・ゲバラ伝 増補版

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