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その匂い、めくりめくる感触が好き。

本が好きです。読書が好きです。紙の匂い、ページをめくる感触...読む行為自体が大好きです...

又吉直樹 『火花』

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こちらのブログは、お久しぶりの更新であります。


『火花』
だいぶ前に読了したのだが、なんやかやとあってなかなか感想を書くことができなかった。
ようやく、時間を置いて本書に向き合った。
読んだすぐ後と、しばらく時を置いてからでは微妙に違ってくるものだ、感じ方とか文章の持つ意味…とか。

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滝口悠生『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』

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一昨日、文藝業界での一大イベント芥川賞並びに直木賞が決定した。
今年は、芥川賞にピースの又吉氏がノミネートされているとあって、ひと際熱気が感じられた。
「熱気」といえば私も同様にかなり熱が入っていて、初めてニコニコ動画での生中継まで見てしまった。しかしながら、とりたてて又吉氏の「火花」が気になっていたわけではなく、予め読んでいた滝口悠生氏の『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』が受賞しないかと期待していた。
滝口氏の作品を読むのは初めてだった。

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『 モーターサイクル・ダイアリーズ 』 - チェ・ゲバラがやんちゃしてた頃

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過去にブクログにアップしていた記事です。

 

チェ・ゲバラが、23歳の青年だった頃…
一緒に旅したアルベルト・グラナードに“フーセル”とか“ペラオ”などのニックネームで呼ばれていた時期だ。
旅は1952年1月に出発、同年7月まで続く7ヶ月間、距離にして12,000キロ以上もの旅だ。
途中タイトルになっているバイクは過酷な重労働(?)や針金での修繕の末その役目を終える事となる。
寧ろエルネスト(ゲバラ)の方は好都合だったようでアルゼンチン人の気質も手伝って旅先で様々な人と出会い助けてもらい、またその土地の実情をつぶさに知る事となる。彼自身も元々人と触れ合うことが好きだったようだ。
時にはアルベルトと小芝居をして旅先の人にごちそうになったり、付き合っていた彼女と別れてセンチメンタルになって詩を読んでみたり。
旅の開放感、楽しさ、若い時期特有の快活な無鉄砲さが読者を惹き付ける。
「あのゲバラが...」と意外な驚きとともに観点や考え方、文章による表現力はやはり凡人ではないことも思い知らされた。
特にチュキカマタに入ってからは労働者階級者たちの死と隣り合わせの過酷な生活を思い知らされ、ペルー、マチュピチュでの文明に感嘆しながらもそこに暮らす人々の非人道扱いや隷属的な暮らしぶりに衝撃を受けたようだ。
ゲバラは、アルベルトが企てたこの旅に行かずに医学の勉強だけして普通の生活をしていることもできたし、旅を終えた後に医学の勉強に戻り全ての試験に合格して医師の資格も取得しているのだから医師として普通に暮らす選択もできたはずだ。
この旅が彼の人生を大きく左右したと同時に革命家チェの出発点だったのではないかとも思う。
革命家は政治家とは全く違うものである。キューバ革命バティスタ政権終焉に追いつめた偉業を成し遂げても彼はそこには停まってはいなかった。
カストロが用意してくれた総裁などの椅子に安泰に居座り続けることを拒んで新たにコンゴ、そしてボリビアへと旅立つ。
この旅の15年後にあのような形で人生の幕を閉じるとは想像だにしなかっただろう。
ゲバラにとって旅が人生そのものだったのだと感じた。
素晴らしい旅日記なのだが、忌憚なく言わせてもらうと翻訳がイマイチだった。
これが唯一の残念な部分で、ここをクリアすれば間違いなく星が5つになっただろう。

最後に...
アルゼンチン人にとってのマテ茶はあれほど凄いのかとかなり驚きました。
しょっちゅうマテを飲んでるし、バイクでの旅なのにマテ茶を煎れる用のやかんなども持参しているのだ。

booklog.jp

 

 

チェ・ゲバラ伝 増補版

チェ・ゲバラ伝 増補版

 

 

 

モーターサイクル・ダイアリーズ (角川文庫)

モーターサイクル・ダイアリーズ (角川文庫)

 

 

 

トラベリング・ウィズ・ゲバラ

トラベリング・ウィズ・ゲバラ

 

 

 

 

 

『 絶歌 』 − なにも響かない歌

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少し前になるが『 絶歌 』を読んだ。
一度読んだ後、気になる箇所だけ咀嚼するように繰り返し読んでみた。なぜか消化不良を起こしているように、胸につかえる不快感が残る。

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三部けい 『 僕だけがいない街 』

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マンガ大賞2015 第4位

マンガをあまり読まないから小説を読む時よりも身構えてしまって、しかも(だから? )時間がかかるのだ。
余程のことでない限りはマンガは手にしない、成人してから以降は。
だいぶ前になるが「王様のブランチ」で「 マンガ大賞2015 」の話題が取り上げられていた、確か1位から5位までの作品が紹介されていたのだ。


ちなみに結果は

1位 「かくかくしかじか」/ 東村アキコ
2位 「子供はわかってあげない」/ 田島列島
3位 「聲の形」/ 大今良時
4位 「僕だけがいない街」/ 三部けい
5位 「BLUE GIANT」/ 石塚真一


ブランチではさらっとあらすじを紹介していたのだが、どの作品よりも「 これはっ! 」と一瞬で惹かれたのが『 僕だけがいない街 』だ。
主人公 悟の小学校時代に起きた連続誘拐殺人と同級生の死。そして主人公が今現在生きる世界で突然起きた信じられない悲劇。
それらすべてが繋がっていると悟った主人公は、彼特有の「 再上映(リバイバル)」と呼ばれるタイムスリップ能力を使って彼の小学校時代の1988年2月に戻って殺害された同級生を救い、今の人生を変えるべく必死に動き始める。

 

さまざまな要素がちりばめられた作品

リバイバルを使って子供時代に戻った主人公、姿形は子供でも中身が28歳の大人というのがコナンくんっぽい。過去にタイムスリップして、友達を助けようと右往左往するというストーリーは『 バタフライ・エフェクト 』を彷彿とさせる。

本来なら1988年に殺されている同級生の女の子と悟、小学生同士のかわいらしい恋人が手を取り合い悲しい現実に立ち向かおうとする姿が健気でTBSのドラマ『 白夜行 』の第一話を思い起こさせたりもする。
伏線があちこちに張り巡らされ、登場する誰もが犯人だと思えてしまう。
兎にも角にも、傑作に巡り会ってしまった思いだ。
そして、否が応でも自分の内面に向き合わされ悟りを引き出すような哲学的なセリフがちりばめられているあたりは大昔に読んだ『 エースをねらえ 』という少女コミック(本作は決して少女コミックではないのだが...)のにおいも漂う。


いっきに5巻を読み切り、続きが待ち遠しくて気が狂わんばかりなのだ。
再び過ぎた時間のある地点に戻りやり直す事ができたら...
人の人生は無数の選択肢が張り巡らされ、ひとつひとつ選び取り行動することの連続だ。
僕だけがいない街 』を読みながら『 ミスター・ノーバディ( 2009 )』という映画の切ない世界観が蘇ってきたりもするのだ。

 

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ちなみにもうすぐ6巻が発売になる、いてもたってもいられない ... 2015年7月4日発売です。

 

注) 私の別ブログの記事を加筆修正したものです。

 

ミスター・ノーバディ [DVD]

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